藤田傳三郎氏始終録 日本最初の偽金事件 自由民權の発端 注文

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【書名】 藤田傳三郎氏始終録
【巻冊】 袖珍判一册
【著者】 大阪府/加藤富三郎編輯出版
【成立】 明治12年9月發兌

★ 前田喜兵衛・前田喜次郎賣捌
★ 藤田傳三郎は長州藩萩出身の實業家で藤田財閥の創始者。
★ 高杉晉作に師事して奇兵隊投じ、木戸孝允、山田顕義、井上馨、山縣有朋らと交遊関係を結び、この人脈が後に藤田が政商として活躍する素因となったと云う。
★ 藤田組贋札事件 明治11年(1878年)12月に各府県から政府に納められた国庫金の中から贋札が発見され、政府内は騒然となった。やがて明治12年(1879年)9月15日、「ドイツ滞在中の井上馨と組んで現地で贋札を製造して秘かに持ち込んで会社の資金にしようと企てた」という疑惑によって藤田の会社に家宅捜索が入り、藤田は中野梧一・藤田辰之助・藤田鹿太郎・新山陽治・佐伯勢一郎・河野清助・入江伊助ら7名と共に拘引され、10月16日に東京に移送される(藤田組贋札事件)。しかし12月20日、何ら証拠がなく無罪放免となり、3年後の明治15年(1882年)9月20日、神奈川県愛甲郡中津村の医師兼画家工・熊坂長庵から2円紙幣の贋札(2000枚行使)815枚と用紙及び印刷器具が押収され、冤罪が晴れた。しかし熊坂長庵も冤罪の説あり。熊坂長庵は樺太の刑務所に収監され4年後に獄死。藤田組と熊坂長庵をモデルにした松本清張の短編小説あり。
★ 何故濡れ衣を着せられたのか。長州の人脈によって若くして大金持ちになった妬みと、西郷・大久保を失った薩摩勢力の陰謀とする説あり。
★ この事件により藩閥政治に批判的な自由民権運動に共感する講談師たちが語り始めた藤田の伝記だったと云う。
★ 本書の末尾に植木枝盛の名著『民權自由論』の廣告があるのはその所以であろう。
★ この伝記は虚実とりまぜた内容だったが、藤田は自身の主義として一切抗議も弁明もしなかったから、事実としてまかり通ることになってしまったと云う。本書はその一傳本。

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